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2012年10月20日

●トルコのバラ水(吉岡ゆうこ)

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*ボッティチェリのビーナスの誕生にもバラが

トルコへは2010年3月、カイセリ-カッパドキア-コンヤ-パムッカレ-セルチュク-イズミール-ベルガマ-イスタンブールと、西から東へアナトリア地方を横断するような行程で視察してきました。今回はパムッカレに行く途中で立ち寄ったウスパルタとバラ水の話です。
ウスパルタはトルコの南部にあり、北にアフィヨン、東にコンヤ、南にアンタルヤと隣接しています。コンヤからケシの産地アフィヨン(アフィヨンの町は毒にもなる薬で紹介)に向かう途中で寄りました。なぜ立ち寄ったかといいますと、ローズ水を買い求めるためです。ここウスパルタは、トルコのバラの一大産地であり、世界的にも有名なバラの産地です。しかし視察の時には有名なバラの産地とは知りませんでした。
バラの歴史は古く、発生したのは今から3500万年前とも言われます。クレオパトラは毎日バラの香水風呂に入ったとか、古代ローマ帝国の皇帝ネロは宴会の時に広間にバラを敷き詰めたとか、バラにまつわる話はいろいろと語られています。ギリシア神話では、海の神が世界中で一番美しいものを作ろうと海の泡からビーナスを誕生させた時、それを見ていた陸の神が空から降らせたのがバラの花だと語られています(ボッティチェリのビーナスの誕生)。

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*ウスパルタにあるRosenseのお店

話はウスパルタに戻りますが、トルコにバラが持ち込まれたのは、1870年代、ブルガリアからの移民者が苗を植えたのが始まりと言われています。ここウスパルタでバラの栽培が行われるようになったのは、1888年、ウスパルタ出身者が当時何の産物もないウスパルタ平野にバラを植え、改良したことに始まります。そしてバラの花の出荷だけでなく、バラ油(ローズオイル)、バラ水(ローズウォーター:バラ油を抽出する際に残る蒸留水)の2種類の商品の販売を開始しました。エッセンシャルオイルの中でもローズオイルは女王と呼ばれる存在ですが、ここのバラはピンク色のバラ(ダマスクローズ)を用いています。
ウスパルタの「Rosense」でバラ水を購入しました。化粧品の店主がおじさんというかおじいさんというのもほんわかした感じになりました。この「Rosense」の商品は、2012年に日本にも正規販売代理店ができ、販売されるようになっています。
このウスパスタからパムッカレに向かう途中で見たのが、大きな澄んだ湖エイルディル湖です。

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*エイルディル湖の澄んだエメグリ色が青い空に映える

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*Rosenseのバラ水

2010年10月27日

●トルコで見つけた門前薬局(吉岡ゆうこ)

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*トルコの薬局/ECZANE(カイセリ)

トルコの薬局のマークもヒギエイアの杯と聖蛇です。そこにオリーブの葉が添えられています。オリーブの葉はWHO(世界保健機関)のマークにも取り入れられていますね。地中海沿岸はオリーブの産地でもありますが、トルコとオリーブの枝には由来があります。旧約聖書に書かれているノアの箱船が洪水でたどり着いたところがトルコのアララト山の山頂です。洪水のあとノアの放った鳩はオリーブの枝をくわえて舞い戻り、水が引いたことを知らせました。オリーブは鳩とともに平和の象徴とされています。

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*ヒギエイアの杯と聖蛇それにオリーブ

トルコの薬局はECZANEといいます。トルコの薬局も処方せん調剤とOTC医薬品の販売を行っていて、処方せん調剤専門薬局というのはありません。またチェーン薬局はなく、みな個人店舗で地域のかかりつけ薬局になっています。エジプトやギリシアほどではないですが、日本でいうところの医療用医薬品が薬剤師の手から販売可能です。

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*大学病院前の幹線道路に門前薬局が並ぶ

そのトルコでおもしろい風景に出会いました。日本のように大病院の前に軒を連ねる門前薬局をみつけたのです。コンヤという町でしたが、大学病院の前に薬局が並んでいてびっくりでした。患者さんの薬局選びには宗教も関連しているそうです。ほとんどの国民がイスラム教徒ですが、そのイスラム教の宗派にも戒律の差があり、その辺の差により選ぶ薬局が違うそうです。これもびっくりですね。

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*薬局の中(コンヤの門前薬局)